最終話 歴史を紡ぐ者




 とうとう、最終回です。
 来ちゃいました。迎えちゃいました。この時を。
 すっっかりサボリまくりだったこの感想ですが、のらくらと後埋めしていくつもりです。その気だけはあるの。


 センタカラーで、見返り狂ちゃん。
 終わらせるのは難しい。始めるのも、簡単なようで、きっと、難しい事が沢山あると思う。
 何かしなくちゃって、思って。
 でも出来ないのは、何か「終わらせてないもの」があるからかも知れない。
 前に進めないのは、後ろに出来る影の中に重いものがあるからかも知れない。見たくないもの、見えないもの、でも存在に気付いたら、中々忘れられなくて、足が竦んで止まる。
 判っているのに、判らないフリ。判ったら、解決しなくちゃいけない。
 したくないから、出来ないから、せめて苦し紛れにする事は、心を鈍くする事だけ。
 鈍感につくり直す事だけ。
 そうやって防御をする。いかにもといったバリアを張ったつもりで、蹲る。
 私はまた立てる。
 動ける。
 休んでいるだけ。
 そう自分にうそぶいて、いつまでも。いつまでも。
 目を閉じて、差し伸べられるかも知れない手を待っている。
 きっと、その手すら気付かず逃してしまうのに。
 がら空きの背中を押して欲しいのかも知れない。
 声を掛けて欲しいのかも。
 すべて、無視するくせに。
 耳を塞げば、ほら、私一人。
 そんな世界を造り上げて、興味がある事になら少し近付いてみる。
 遠くから、ほんの、少しだけ。
 僅かに触れて、反応を見る。私との摩擦熱を、反作用を、醸成を振動音を。そしていつしか出来上がる、フラクタルを想像。
 侍、剣戟、賞金小町。特に、椎名ゆやの存在のお陰で私はこの侍漫画に興味を持った。
 あれは、一月。二年前の一月に、近所の漫画喫茶へ行ったのだ。ゆや役の堀江さんのベストアルバムを聴き、椎名ゆや、彼女の恋心が込められた「青薄」でどんな娘かと気に掛かり、アマゾンで漫画のあらすじ等を呼んだ。
 「ああ、好みだ」
 そう、思った。
 あらすじだけ読むと、信長や十二神将の辺りは「よく判んないけど面白そう」とも。元々十二支の式神(G●美神)に興味があったので、余計に気になったと記憶している。
 更に、一巻の表紙で主人公の人の容姿にときめく。
 あとでアニメ関係の情報を得たり、そういえば一、二度アニメを観た事があったので主人公が兇悪面でないことに驚いたりもした。
 ていうかW主役、というより狂ばかり出るので京四郎の出番を心待ちにしていたりもした。
 ああ、あと、漫喫で読む前は、「狂×ゆや」と「京四郎×ゆや」どちらが多いのか検索してみたりもした。ノマカプ万歳。狂も京四郎も、勿論ゆやですら殆ど知らないのに、だ。
 その後も樹海編が終わるくらいまでは仕事帰りにも漫喫へ通った。
 しかし、歯止めは利かなくなる。そもそも、私のブレーキは壊れているものを騙し騙し使っているから。決壊は判っていた。

 どうして闘うの?
 愚問だと思いつつも、侍達を見守った。
 それぞれに、理由はあっての事。
 強くなりたい、護りたいものがある、知りたい事がある…。
 傷ついても、貫きたい想い。
 諦めたら、折れてしまうから。
 心の芯も、剣も。
 派手でカッコ良くて、強い技も好きよ。
 でも、何より、その生き様が好き。大好き。彼等の事が、大好き。

 見ていたい、と思った。
 いつまでも。
 時々は、近付きたくなった。彼等の居る所まで。
 次元の壁はとんでもなく厚くて大きくて、とても皆の所には行けやしないけれど。
 彼等がピンチになる度、立ち上がって拳を握った。
 危機を乗り越える度、足に力が入った。
 そして笑顔を見る度、私も、笑った。
 自分でも、不思議。こうやって、皆みたいに、闘って乗り越えて、笑えると思ったの。
 笑いたいって、思ったんだ。
 沢山、沢山貰った想いを、返して行きたい。
 ありがとう、って。
 そして、他へ繋げたい。
 もう彼等の旅は一先ず終わったけれど、皆まだまだ前へと進んでいるし。
 KYOが終わっても、私は前に進めるし。進まなきゃ。
 貰ったちからまでも終わらせたくない。私の中だけで、消えさせない。
 一緒になって闘っている気になっていた。
 私は物凄く安全な所に居るのに。
 アキラのように、努力を続けたいな。
 紅虎のように、平和と倖せを想いたいな。
 ほたるのように、自分のためにも強くなりたい。
 狂と京四郎のように、何かを、誰かを護るために強くなるのも素敵。
 ゆやのように人を愛せたら。
 信じられたら。
 もっともっと。
 沢山の人達から、色々な事を学んだ。

 私は忘れない。

 それが、引金。
 自分で引いた、スタート合図。
 狂達のようにはなれなくても、「なりたい」と想い続ける事は、糧になる。
 彼等の道を見てきたのだから。
 梵天丸の「茨の道」の話が脳裏を過る。
 いびつでも、道を作りたい。蹲っていたら、先はないもの。
 灯のように、夢を叶えたい。欲しいと、願い続けるものがある。
 畏れても怯んでも顧みても、歩いてゆける。



 そしていつか。
 いつか、汚れた足で立ち止まった時、思い出そうと思う。
 彼等の生き様と、笑顔を。
 振り返った時に、決して彼等と交わらない道であっても、彼等から勝手に見出した「希望」や「想い」が散らばっているはず。
 好きな歌にこんなフレーズがある。
 「いつか振り向いても同じ重さと意味を 忘れない為に」
 そんな、想いを刻んで、刻み込まれて出来た私の芯を、いつか、信念と呼んでみたい。



 希望を述べるばかりだけれど。
 狂達に、上条先生に、感謝の気持ちと敬意を込めて。
 七年間、お疲れさまでした。そして、ありがとう!





**他の感想は、落ち着いたら書きます。…コミックス出るまでムリかも(汗)。
最終話掲載はW.M.No.23
2006/05/26up

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