ドリーム小説 夢 KYO アキラ 侍学園 ダンス ウィズ ミィ!





 「アキラ、そっちどう?」
 体育館の舞台裏で、 は級友の名を呼んだ。
 「ええ、大方済みましたよ。…まったく、災難でしたね」
 「ほーんと。なーんでほたるの代わりをしなきゃならないんだかー」
 「アイツが学校をサボったせいで、今日の休み時間は全部なくなりましたし。それに、放課後まで拘束されるなんて…。絶対許せません」
 「おーよ。何か奢らせよーよもう絶対!」
 星徒会を一方的に辞めたとはいえ、ほたるは今回のハロウィンパーティの準備係として任命されていた、クラスの代表なのである。
 しかし、ほたるは肝心のパーティ当日に来ていない。いつもなら、昼過ぎにでもやってくることはあるのだが。携帯に連絡しても、圏外か電源が入っていないというガイダンスに繋がる。
 毎年のパーティ準備は、体育館を使うバスケット部員も手伝ってくれることになっていた。勿論、他の星徒会の面々もいて、飾り付けなどで大忙しである。
 朝、クラスの前で辰伶に捕まらなければ…と、 は今日何度目かの溜め息をついた。
 「バスケ部の人達もさ、来月から何度か試合がある中、大変だよね。この時期」
 「ええ。そういえば、ゆやさんが何時の試合だったか、助っ人で出ると言っていましたね」
 「うん。三回戦に勝ち進めた時だね。どーしても、試合当日に出られない子がいるんだって」
 「 、終わったか?」
 星徒会の一人、歳世が様子を見にやって来た。
 「うーん。私もアキラももうすぐ終わるよ。外の飾り付けはどう?」
 「こちらは問題ない。何せ、辰伶が指揮を執っている。開始の五時半までには充分間に合うさ。太白も、体育館の中の準備はほぼ完成と言っていた」
 「そっか。んじゃ、アキラ、放送器具に問題ないかテストしよっか」
  は進行係が使う道具箱を持ち、アキラはマイクの調子を見始めた。簡易音響室でテスト放送も行う。側で聞いていた歳世は、問題ない事が判ると、辰伶のいる外へ戻って行った。
 「問題ありませんね。さて…。 、無論、貴女もパーティに出るのでしょう?」
 「うん、家庭科部のカボチャケーキやらクッキーやら食べるだけだけど」
 「…相も変わらず食へ一直線ですか…」
 「流石 でしょう?」
 にっこり が笑うと、アキラは眉間に皺を寄せながら二度三度と頷いた。
 「…ダンスの相手はいないんですね?」
 「つっか、そもそも踊る気ないもん。他の子みたく仮装衣裳ないしさ」
 ハロウィンって、ダンスするものなの? と、ケタケタ笑う に、アキラはさあ? と答える。興味がなさそうな言い方だった。
 「でも、まあ、こんな時でもないと踊る機会なんてないですからね。…どうです?  、今回は私と踊りませんか?」
 「あら、わたくし、踊った事がございませんの。申し訳ないですけれど、他の女性をお誘いになられたらいかが?」
  はさっと困った顔を作り、声色を変えて言った。
 「…平気ですよ。私がリードしてあげますから。 のように物事を覚えるのに慎重な人でも、私がちゃんと教えて差し上げましょう」
 アキラはお得意のアキラスマイルとポーズで、さらりと失礼な事を言い返す。クスクス笑いが の耳についた。
 「フン。足踏んでも、文句は言うなよ」
  が照れているのを見て取ったアキラは、満足気にクスリ、と笑みを零す。
 「一回くらいは、大目に見てあげますよ」

 その後、ダンスパーティコンテストなるものが企画されていることも知らず、二人は一緒に踊る事となる。今年初めての企画だそうだ。
 アキラのリードで見事三位に入賞を果たし、二人は記念写真を撮ってもらった。ポラロイドで二枚ずつ。
 最高学年である今年の行事でアキラと新たな思い出が作れた事は、 にとって嬉しい出来事だった。
 写真の中で笑う二人は、写っていない範囲で、実はこっそりとアキラのリードで手を繋いでいたりして…。







*'05/12/13up  Kodo of Kanoto Insho Wrote .
**12/14 早速訂正で申し訳ありません(泣)。「にっこり●●が笑うと、アキラは眉間に皺を寄せながら〜」という文章の「にっこり」の後に余分な助詞「を」が入っていた為、削除しました。
12/16 更に…「さらりと失礼な事を言い返す」がさらり「を」になっておりました…。あああんなに読み返ししたのに。 

夢始へ 秋企画へ