ほたるのたんじょーびはあまーー おせっかいはキライ(うそ。すき)





  ってばおっせかいだなあと、つくづく思った。
 オレの誕生日情報をどこからか仕入れてきた(多分辰伶のヤツ…) は、はりきってこう言ったのだ。
 「ケイコクちゃん、お誕生会しよう!」
 「やだ」
 「うわあそくとうだあとりつくしまもないね!」
 「そーゆー意味の無いコト嫌い」
  が笑顔のままで、機械みたく喋っても、ムダ。ちょっと面白かったけど、ダメ。オレ、誕生日なんて嬉しくないし。
 「けーこく〜〜」
 「だーめ。嫌だってば。 はどーせ西洋菓子とか食べたいだけでしょ?」
 「うん」
 うわ認めるし。
 「意味が無いのがダメなら、私がケェキ食べるの。それだけ。付き合って下さりなさい」
 それ命令形?
 「 絶対太るから…」
 「太りません」
 笑顔で言うけど、怖い。眼が笑ってないのに、口元だけが異様につり上がっている。まあ、 は…えっと、細い。この前、間違って「薄い」と言ったら、すんごい蹴りを喰らった。あれ、打ちどころ悪かったらいくらオレでも半分くらいは死んでたと思う。
 「もう知らない。勝手にすれば」
 「じゃ、お金頂戴。買ってくる。ケイコクはチヨコレェト派? それとも生クリィム派?」
 「あえて言うならわさび派?」
 「ありませんそんなの。納豆もありませんからね? …金平糖をまぶしたのは、世界中探せばもしや在るかも?」
 「うわ、オレがこんぺーとー嫌いなのも知ってるの? いやだなーもー。辰伶ってホントお喋り。オレも何かばらそうか。アイツね、イイ年してニンジンが嫌いなんだ」
 「そうなの? あはは、それはあたしもきらいだー」
 「にがあま」
 「そう、にがあま。単品で食べるのは絶対嫌だなあ」
 「 は甘いもの大好きだよね。あんこ嫌いなくせに」
 「うーみゅ…。最近は慣れたよ? 元居た世界と違って、西洋系の甘いもの少ないんだもん。餡こでも我慢の子。だって私は糖分の子。でも、薩摩芋と白餡の饅頭とか、そういう何かと混ぜた系なら尚良し。ケイコクはあんまり甘いの好きじゃない?」
  が背中にひっついてくる。重。
 セットになっている甘い香りがよくわかるんだ。この甘さなら、好きかも、ね。
 「大好物じゃないけど、まあ、好き」
 「じゃあケェキ大決定。私の好みにより、チヨコレェト〜。ぱふぱふ〜!」
 自前の効果音とか、よくやるなあ…。ま、 がご機嫌なのはいいか。そう思っておこう。
 「ケェキはどっちでもいいけど、プレゼントは?」
 「はい?」
 「プレゼント貰えるんじゃないの?」
 「え、無一文の私にたかるのですか? ケイコクからケェキ代貰わにゃーいかんくらいなのですよ? ケェキ代と言っておいて、実は帰って来たらプレゼントを買う為の嘘も方便的展開はありませんよ??」
 「うん。だろうね」
 「だろうねじゃねえよ。んー…手作り的なものも考えましたが、しょーがないから、あたしは嫌いなわさび系のおかずを新作作ってみたり(味見なし)したのだけども」
 そうなの?
 何だか逃げ腰の の両腕を捕まえつつ、くつくつと笑いが込み上げた。表には出さないけど。
 さすが 。もう展開が読めてるね?
 「それは後でちゃんとイタダキマス。でも、別のが欲しいし」
 ふっと、生暖かい、とでも言ったらいいのだろうか。
 そんな目線と微笑みで、 が言う。
 「ケイコク、最近アタマ大丈夫? 歳子歳世に診てもらったらどう?」
 「必要ないよ。何でこうなるのか、よく判んないのも事実だけど…。したいだけだから。うん、オレ大丈夫」
  の眼も好きだけど、唇が好き。
 「それに、オレに先にキスしたの だよ」
 「キッスーとか言うな! あれは人工呼吸くらいのもんだよ! 人命救助の内だよ!決してヤマシイ気持ちとかこれっぽっちも無かったし! あああああアンタバカぁ?!」
 だーめだめ。もう射程距離だもんね。嫌なら、殺す気で蹴りなよ。
  はソレが出来るでしょ?
 「良い子は観念」
 「し、してやらねえぞ!」
 はい、もーおしまい。
  がギュッと目をつぶったのは、それは観念でしょ? まったく素直じゃないね。オレもだけど。
 かるくかるく、ちょっと柔らかさが判るくらいでイイんだ。
 よしよし。
 ごちそーさま、って、思っとく。
 「オレ、甘いの、もーちょっと好きになれるかも?」
 大丈夫、ちゃんとケェキは買ってあげるから。チヨコレェトと生クリィムだっけ?
 半分こしよーね。
 きっと、もっと甘くなるだろうから。



  は言う。
 「ケイコク、お誕生日おめでとう」
 って。
 オレ、 にお返ししなきゃ。
 嬉しい・は倍返し。
  限定。
  は甘いのが好きなんだから、どれくらい甘いのがいいかなあ。
 多分、これくらいじゃ足らないでしょ?
 うーん、これは、はりきれる、かも。
  の気持ち、ちょっとだけ判った。








**五日も遅れて御免よマイラヴァー!! ほたるちゃん、お誕生日おめでとー!!! でした!
 ああ、 さんはチッスですら恥ずかしいのですよ。必殺の一蹴りは我慢の子なんです。糖分の為に。(←台無しだよソレ)
 嘘ですよー。ケイコクちゃんのためー。

*2005/08/18up





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