コイする十四松(10話放送前に勝手に夢仕様で想像編)」





 新幹線型のトイレ、鳥型の滑り台。それらを横目に、バットで素振りに勤しむ青年がいた。
「素振り! 素振り! 飽きるまで!!」
 五分ほど続けただろうか、青年は呟く。
「…飽きた」
 次は走るか、と思った時、自分と同じ顔がいくつか見えた。夕日が差す公園に入ってくる。
「おーい、十四松! 晩ご飯もうすぐだぞー。デザートに梨を買ってきたぞー」
 十四松、と呼ばれた青年は、六つ子の自分の兄を見た。長男おそ松である。夕飯の買い出しに行っていたようだ。隣の三男チョロ松が聞く。
「十四松、一緒に帰ろうか?」
「うーーーん、もうちょっと遊んでる。ひとっ走りしたら帰ろうかなー!」
 今度は次男のカラ松が十四松に言う。わざわざサングラスを外した。
「フッ…。晩メシ前に動いて腹をすかせるハラか。いいんじゃねえか。いい汗かいたら、きっと晩メシも美味いことだろうぜ。おかずの秋刀魚の野郎も、生を全う出来るだろうさ」
 十四松を含めた兄弟はみな一瞬カラ松から目を逸らす。
「じゃ、先に帰ってるからね。早く帰って来ないと、十四松兄さんの分も食べちゃうかもよ?」
 六男のトド松が冗談を言った。抱えていた荷物を抱き直し、去って行く。
「あとでね~~~!」
 十四松は腕を大きく振り、四人を見送った。出ていく兄弟と入れ替わるように、一人の女の子が公園へ入って来た。
 チョロ松とトド松が女の子を見て振り返る。
 あ、反応した、と十四松は気づいた。これは、まずい。
 恐らく、自分と同じく、女の子を可愛いと思ったのだろう。
 あの二人は要注意だ。兄弟の中で特に女子に反応しやすい。
 女の子は黒のブレザーに紺のスカートで、制服姿だった。
 三男と六男の足が止まったことに気づいた兄たちは、振り返り公園の中に目を向ける。
 まずい、と十四松は汗をかいた。
 このままでは…ばれる。
「十四松さん、こんにちは」
「こっ…こんにてゃ!」
 十四松は思わずあいさつを噛んで言ってしまった。
 今のやりとりが聞こえたのだろう、チョロ松が「何? 知り合い?」と呟く声が聞こえる。
 十四松の野球のユニフォーム姿とバットを見て、女の子はにこっと笑った。
「今日も野球の練習ですか? 精が出ますね」
「ま、まぁね!」
 答える十四松は嫌な汗を流したまま、素振りを始めた。
「私も、練習しなくちゃ」
 女の子はベンチにスクールバッグを置く。
「十四松さん、私、今日はパートナーの相手の足を踏まずにダンス踊れたんですよ」
「そ、そっか! 良かったね!」
「はい。ふふふふっ」
 嬉しそうに微笑む女の子の後ろで、悪魔のように嗤う兄弟たちが見えて、十四松は滝のような汗を流した。
ちゃん、ぼく、今日は帰るね! また今度!」
「えっ? あ、はい…」
 再び公園内に入り出した兄弟たちを見て、十四松は豪速で走った。兄弟たちを豪腕で押し返しながら帰宅しようと試みる。
「何だよ! 知り合いなら紹介くらいしろよ!」
 チョロ松が若干怒りながら言った。
「そうだよ、別にいいじゃん。ボクら兄弟なんだし!」
 兄弟だから嫌なんだ、と分かっているはずのトド松は、楽しそうな顔で賛同した。
「フッ、安心しろ。カラ松ガールになれるかは今から話してみて決めるから」
ちゃんはカラ松兄さんガールにならないよ!」
 十四松の否定の言葉に、三人は「へ~え?」と面白そうに嗤った。
 三人。三人しかいない。四人をまとめて押し戻しているはずが…。
「へー、キミ、ちゃんって言うのか。おれ、おそ松! 十四松の六つ子の長男だよ。よろしくね!」
 慌てて振り返った十四松は、おそ松がに握手を迫っているところを目撃して目を見開く。
 厄介なのを接近させてしまった。
「そうなんですか! 六つ子ですか! 凄いです! 初めて見ました!」
 は驚きと喜びが混じったような声ではしゃぐ。おそ松と握手をした。
「十四松さん、どうして今まで教えてくれなかったんですか?」
 やや興奮しながらが尋ねた。
 悪魔の兄弟など誰が紹介したいものか。大切な、何者にも代えがたい兄弟であると同時に、この世の誰よりも厄介な兄弟なのだ。
 面白がられるだけならまだしも、他の兄弟がに興味を持つ可能性が高かった。興味を持つ女子の嗜好が似通っているから。
 事実、幼馴染みのトト子のことを、この場にいない一松を含めて全員が好きであるように。
「おそ松兄さん!」
 十四松は慌ててとおそ松に駆け寄る。
「帰ろう! 梨! 食べちゃうよ!」
「あ? いいよいいよ、梨くらい。欲しけりゃやるよ。それよりさー、ちゃん、可愛いね! その制服どこ高?」
 がどの高校に通っているか答える前に、十四松はおそ松にまんじ固めを決めた。
「いってええええええ!」
「いーから! 答えなくていーから! じゃ、ぼくたち帰るね! ばいばい!!」
 早口で言っておそ松を引きずり、十四松は他の兄弟を剛力で以て引き連れ、公園を去って行った。
 帰宅途中に兄弟たちは好き勝手喋る。
「一松兄さんにも教えてあげよう!」
 トド松が言えば、おそ松が後を継いだ。
「トト子ちゃんにも教えてあげちゃおっかなあ~?」
「! それは…!」
 焦る十四松をチョロ松が睨む。
「それは?」
「フッ…。トト子ちゃん争奪戦から脱落者一名…か」
 カラ松の台詞に、十四松は黙ってしまう。
「…十四松兄さん?」
「十四松、お前…本気で脱落?」
 おそ松が恐る恐る尋ねたが、十四松は困ってしまった。
「まだ…わかんない」
 淡い「何か」が自分の中にあるのは分かるが、言葉には出来ない。
 いつになくテンションの低い十四松を見て、チョロ松が気を利かせる。
「みんな! 一旦止め! 十四松が大人しいのはおかしい! 止め止め!」
「え~!?」
 不満げなトド松だったが、おそ松は笑みを引っ込めた。
「ま、まずは帰って、ゆーっくり話を聞こうじゃないか。なぁ、十四松~~~?」
 有無を言わせない迫力でおそ松が言ったので、十四松はまた嫌な汗を流した。



 夕食のあと、松野家は六つ子だけになる。両親は町内会の集まりに出かけて行った。
 おそ松は縮こまっている十四松の前で仁王立ちをする。
「じゃ、ちゃんのこと話してもらおっかなー!?」
…?」
 四男の一松が初めて聞く名前を繰り返した。
 チョロ松が簡単に公園での出来事を一松に聞かせる。
「いや、別に、話すことは何もないよ…?」
「目が泳いでんぞ」
 一松のつっこみに十四松はさらに目を泳がせた。
「いつも! ぼくが目の焦点合わないのはいつも!」
「怪しい…」
「怪しくない!」
 誰が見ても怪しいよ、と思ったトド松だったが、それは口にせずにこう言った。
「十四松兄さん、ボクら別に十四松兄さんの邪魔をしたいわけじゃないよ」
「嘘だ!」
「嘘じゃないよ。むしろ応援したいよ」
「おうえん?」
 トド松は人懐っこい笑みで続ける。
「そう。だってさ、兄弟の幸せは願うものでしょ? 十四松兄さんはボクに好きな人が出来たら、応援してくれるでしょ?」
「トト子ちゃんはダメだぞ!」
「いや、今はトト子ちゃんのことは置いておいてさ…。応援してくれるでしょ?」
「……………………」
「あれ、応援してくれないの?」
 寂しそうに言うトド松に、一松が毒をはく。
「どうあってもお前は邪魔する側だからだろ」
 他の兄弟は大きく頷いた。
「そ、そんなことはないよ!? 兄さんたちと違って、ボクは応援出来るよ!?」
 トド松は慌てて否定する。余計な一言を言ったとは気づかずに。
「十四松、僕らだって、高校生の女の子に酷いことしないよ? ただ、知り合った経緯を教えて欲しいなって思っているだけだよ」
 チョロ松が言うと、十四松は観念してぽつぽつ話始める。
 とは、あの公園で出会ったこと。彼女の姿は時折公園で見かけていたこと。ある日、野球の練習をしていた十四松が遠投のボールをに当ててしまいそうになったこと。それで話すきっかけが出来たこと。
ちゃんは 競技ダンス部に入っていて、部活のあともあの公園でひとりステップの練習をしていたんだ。ぼくらは体を動かすのが好きで、すぐに話が弾んで、仲良くなった」
「そうだったのか。で?」
 チョロ松が相槌を打ち、先を促す。
「それから夕方に公園で会う度、あいさつしてる!」
「それだけ?」
「うん!」
 少しずつ調子を取り戻した十四松を見て、おそ松は話に割って入る。
「それだけかよ!」
 カラ松が半眼で聞く。
「それだけなら、何もオレたちに隠す必要はねえだろ?」
「そうだそうだ! 隠す必要なーし!」
 トド松がのっかれば、一松は短く「ケッ」とだけ言った。
「あの子、ダンスに一生懸命なんだ! ぼくたち兄弟のテンションで邪魔しちゃダメ!!」
 その台詞を聞いて、おそ松とチョロ松は顔を見合わせた。
 松野家の天然核弾頭が、自分の性質を理解している、と。
「それに、ちゃんは、ダンスのパートナーのことが好きみたいだし…。ぼくは別に、楽しそうにダンスの練習をしているちゃんが見られるならそれだけで…」
 割と本気だな、とトド松は思った。十四松は自分で気づいていないかもしれないが、彼には直感で兄がを女の子として好いていると分かった。
「競技ダンスのパートナーか。相手としてはもしかしたら厳しいかも」
 チョロ松が言えば、トド松も同意する。
「そうだよね、ジ●ンプの漫画で読む限り、すっごい体が密着するしドキドキしやすいだろうね」
「うっ…」
 十四松がややショックを受けたような顔をした。
「恋のときめき、きらめき…それは」
 カラ松が目を伏せ、髪をかき上げて喋り出したが、一松が低い声で阻止する。
「どうでもいい」
「えっ!?」
 台詞を邪魔されてカラ松は落ちこむ。
 おそ松は気にせず十四松に尋ねた。
「まあ、お前がそこまで言うなら、おれたちはもうからかわないよ。邪魔しない」
「ほんと!?」
「ああ」
「良かった~! じゃ、みんな、約束ね!!」
 十四松は嬉しそうに両腕を上げた。手の出ていない長いトレーナー袖が揺れる。
 兄弟たちは仕方なさそうに各々頷いた。



「十四松さん、こんにちは」
ちゃん、こんにちは!」
 翌日の夕方も、十四松とは公園で会った。特に約束をしているわけではなかったが、は毎日公園でダンス練習をしていると知っている。大体同じ時刻に現れることも、十四松には分かっていた。
「今日はみなさんと一緒じゃないんですね」
「うん! まあね!」
「昨日は仲が良さそうで羨ましかったです。私、きょうだいがいないから」
 にこにこ笑うにはあれが仲良く見えたのか、と十四松は思いながら、彼女は一人っ子だという情報を得て少し嬉しく思った。のことをまた一つ知ることが出来た。
「今日は部活どうだったの?」
「あ、今日はですねー、新しいジャンルのステップを覚えたんですよ!」
 そう言って、踊ってみせるは生き生きした表情だった。
 軽やかなステップとターンを織り交ぜ、十四松に披露する。
「わあ、いいね! 楽しそう! ぼくも踊ろうっと!」
「ふふっ、十四松さん、素敵なステップですね」
「ほんとー!?」
 褒められて嬉しくなった十四松は、さらに我流のステップを踏み、ぐるんぐるん回った。
「そんなに回ると、目が回っちゃいますよー」
 の笑顔を見て、十四松はもっと調子に乗る。
「大丈夫! まだまだ回れるよ!」
 と、言って気づく。自分はの練習の邪魔をしていると。兄弟たちのことを思い出し、十四松は高速回転を止めた。
「十四松さん?」
 不思議そうなの呼びかけに、十四松はいつもの笑みで応えた。
「ごめん、邪魔しちゃった。ぼくは走ってくるから、ちゃんは練習を続けてて!」
「え、邪魔なんて…」
 の言葉が終わる前に、十四松は走り出す。
 超特急で公園を周回し始める十四松に、は少し驚いたが、走り込みで体力をつけたいのだな、と思い自分の練習に戻った。
 十四松は走りながらちらちらを見る。真剣な顔で踊る彼女に見惚れそうになっては視線を逸らした。公園を何周したか分からないころ、に呼び止められる。
「十四松さん、良かったら、練習の相手をしてもらえませんか?」
「えっ!?」
 思わぬ願いに、十四松の心臓はどくんと大きく鳴る。
「ターンの時に、支えてくれる人がいないと困るものがあって…」
 おずおず言うが可愛くて、十四松はすぐ頷いた。
「うん! いいよ!」
 十四松はの教えをすぐ飲みこみ、ダンスの相手を務める。彼にとって、ドキドキしながらも、とても楽しい時間になった。
 の方は何とも思っていないだろうか?
 彼女の顔を見ると、笑顔が煌めいていた。
 楽しい気持ちは一緒だな、と思えるだけで、十四松は充分だった。



「わあ、十四松兄さん楽しそうに踊ってるね!」
ちゃんの方から誘うとは、脈アリなんじゃね!?」
「しっ! おそ松兄さんもトド松も声がデカイ! のぞき見してることがバレる!」
 チョロ松が植木の後ろで長男と末弟を注意する。
 十四松の様子を黙って伺っていたカラ松が一松を見た。
「…よし、一松、エスパーニャンコとやらを連れてこい」
「何でぼくが…。つか、あんたの言うこと聞くの癪に障る」
「この前酔い潰れた時におぶって帰ってやったの貸しってことで」
 本当は貸しだとは思っていなかったが、言うことを聞かせるためにわざとそう言った。
「………チッ」
 嫌そうに舌打ちした一松は、人の言葉を本音に変換して喋る猫を探しに出かける。
「カラ松兄さん、どうするの?」
 心配そうに聞くチョロ松に、カラ松は無言で口の端を持ち上げた。



 ダンスシューズからローファーに履き替えたは、スクールバッグを持つ。
「十四松さん、遅くまでありがとうございました! 今日はこれで失礼します」
「うん! またね!」
「はい、また!」
 いつ会うとは約束せず、またね、と言い合う。
 そんな関係も悪くないと十四松は思った。
 月が目立ち始めた空を見て自分も帰ろうとしたところ、暗がりの植え込みから一松が出て来た。
「あれー? 一松兄さん…と、にゃんこだー!!」
 エスパーニャンコを見て十四松が目を輝かせて駆け寄る。
 一松はエスパーニャンコを十四松に押しつけた。
「おい」
「何?」
「お前はあの子のことが好きか? 好きと言っても嫌いと言っても、何と言おうがこいつが本音に翻訳するぞ」
「…うわ…」
「仕返しされてる気分だ」
 エスパーニャンコが十四松の心の声を代弁した。
 一松は以前、友達がいない寂しさなどをエスパーニャンコに暴露されている。その仕返しをされている、ということだ。
「ぼくは―…」
 もう自分の心は分かっていた。本心を知られてもいい。
ちゃんのことが好きだよ!」
「ぼくはちゃんのことが好きだよ」
 本音しか出ないのだから。
「だあいすき!」
「だあいすき」
 十四松の台詞とエスパーニャンコの台詞が一致している。一松は舌打ちした。
「チッ、つまんねえ」
「本音が聞けてほっとした」
「え? そう?」
 十四松は一松ではなくエスパーニャンコを見ながら言う。
「もういい、ありがとな」
 一松はエスパーニャンコを手放した。にゃー、と一鳴きして、エスパーニャンコは去って行く。
「これでトト子ちゃん争奪戦から脱落者一名、と…」
「あはははー。似たことをカラ松兄さんも言ってたー!」
「…一緒にするな」
 心底嫌そうな顔をする一松だったが、十四松は構わず笑う。
「うるせえっ」
 一松は噛みつかんばかりの怒りを見せたが、自分の役目はそろそろ終わりだと思い直した。
「…って、ぼくの弟は言ってるけど、あんたはどう?」
植え込みに向かって話しかける一松を不思議そうに見た十四松は、茂みから現れたに驚き、目が飛び出るかと思った。
「えっ!? うわっ!? 何で!? 帰ったんじゃなかったの!?」
「えっと…」
「おれらが引き止めた」
 茂みからはさらに、おそ松からトド松まで兄弟四人が揃って出て来た。
「げっ!!」
「言っておくが、これは邪魔じゃないから、約束は破ってないぞー?」
 平然と言うおそ松に、十四松は少し怒りが湧きかけた。普段はあまり支配されない感情だ。
「よし! 弟たちよ! 帰るぞ!」
 おそ松の号令で、十四松以外は公園を出る。
 二人きりになり、沈黙がおりた。しかし、緊張がちにが切り出す。
「あの、十四松さん…」
 顔を赤くしているに、十四松は笑いかけた。
「ぼくね、楽しそうにダンス踊ってるちゃんが好き!」
 素直に告げられて、はいっそう顔を赤くする。
「それだけだから、あんまり気にしないで?」
 への負担を和らげるように、十四松は出来るだけいつも通りに笑った。
「…気にします」
「え?」
「私も、楽しそうに野球の練習している十四松さんが好きだから、言われたこと、気になります」
「……えっ!?」
 好きと言われた十四松は、飛び上がる。
「ほんとに!?」
「…はい」
 はにかみながら目を細めて笑うに、十四松は怖々と尋ねる。
「よく話に出る、ダンスのパートナーのことが好きなのかなって思ってた」
「いえ、パートナーはパートナーというだけです。いつも迷惑をかけてしまうので、心底申し訳ないと、迷惑をかけないようにと思っているだけで…」
「そ、そっかー!」
 安心したら、力が抜けそうになる。思わずふらついたところを、が支えてくれた。
 先ほどダンスの練習でくっついた時とは違うときめきが、二人の鼓動を跳ねさせる。
 慌てて離れた二人は、気恥ずかしげに笑いあった。
 こそばゆい気持ちに、十四松は兄弟に感謝しながら、笑みを深める。
ちゃん、ぼくと付き合って下さい!」
 一礼しながら片手を差し出す十四松の手を、はそっと両手で包んだ。
「はい、喜んで」
 了承の返事に、十四松はもう一度飛び上がる。
「うっひょー! 今夜はサイッコー!」



「何やってんだ十四松! 押し倒せよ!?」
「いや何言ってんの。いつまでものぞきしてないで、帰るよ、おそ松兄さん」
「えー? もうちょっといたら、キスくらいするかもよ?」
「トド松うるさい帰るぞ」
 チョロ松の意見に賛成するのはカラ松だけだ。
「ああ、帰ろう」
 カラ松がそう言った時に、豪速球が額に当たった。その後も野球玉が五人を襲う。
「チッ、十四松のやつこっちに気づきやがった」
 一松は頭を庇いながら言った。
 おそ松たちは渋々その場を去ることを余儀なくされた。



「あの、十四松さん、急にボールを投げてどうしたんですか?」
「えっ!? あ、ぼく、遠投得意だからね! 木陰にいる変態とかやっつけるの得意なの!」
「は、はぁ…」
「あははは! 気にしないで!」
 十四松は兄弟を追い払ったあと、とまた会う約束をした。
 これからは「またね」だけの頼りない言葉だけではなく、確かな想いで会うことが出来る。
 淡い恋心が赤く色づいたのを、十四松ははっきりと自覚。
 初恋から卒業し、始まった新しい恋を大切にしようと、目の前のの笑顔に誓った。








**これ書いて万一10話サブタイが変わったらどうしよう、って話ですよ。万一サブタイが変わっても責めないで下さい、すみません…。

 さて、おそ松さんの十四松夢です!
 私はトト子ちゃん好きの全松推しなのですが、アニメ始まる前のツイッターなどで得たキャラクター情報から「十四松かトド松が好きになりそう…?」と思っていました。
 可愛い系統に寄りがちなんです、私。
 全松推しといいながら、pixivとかでは十四松がいっぱいですので「もう私は十四松好きを認めてもいいんじゃないかな?」と思います。
 でもトッティも闇松も厨二もポンコツ常識者もダメ長兄も好きなんです!
 かと言って、今後「おそ松さん」作品の夢増えるかは不明です。
 今回書いたを=自分に置き換えられないので…。
 トト子ちゃんとのノマカプはあるかもしれません。
 分かりません!!

 10話の十四松の恋の相手がトト子ちゃんなのか、それ以外なのか、ちゃんと相手が人間なのかも含めて非常に気になるので、「もう明日9話やって明後日10話放送してくれたらいいのに!! 神回なのギャグ回なのどっち!?」と思いながら書きました。
 10話が待てないので書いたものですが、少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。


P.S.どうでもいいですがカラ松難しいですねカラ松。喋り方といい…。あと、公式HPで参謀のような存在、と紹介されているのでそれっぽくしてみたかったのですが失敗。

* 2015/11/19 write
* 2015/11/20 up

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