ドリーム小説

REPORT:7-1 初めてのケンカ





 選手村の一角にあるコーヒーハウスで、オーキド・シゲルはサンドイッチとコーラをテイクアウトしていた。
 今日の試合も勝ち抜いたが、まだあと一戦しなければならない。軽く昼食を摂り、午後はポケモンたちとトレーニングをする予定だ。明後日に出すポケモンとも、しっかり触れ合っておきたかった。
 人気のない方へと進み、静かな場所を求めた。しかし、選手村の中はにぎわっており、そこかしこでポケモンバトルが行われ、選手村の外れにすらまばらに人がいる。
 諦めて座る場所を探そうと思った時、見知ったポケモンがいた。
 「あれ? もしかしてキミ、サトシのピカチュウじゃないか?」
 「ピカ…? ピッカー!」
 振り向いたピカチュウが両手を振った。
 「やあ、元気そうだね。もしかして、アイツも、サトシもいるのか?」
 周りを見渡すが、サトシはいなかった。シゲルの問いには、ピカチュウはあっち、と指を指した。
 「ここで遊んでたのかい?」
 「ピッカ、ピカチュウ」
 ピカチュウはトゲピーの顔真似をし、いないいないばーをしてみせた。さらに、シゲルを何かに見立ててか、隠れるようなフリ、手を頭の横に当てて探すしぐさをする。
 「ああ、トゲピーと隠れんぼ?」
 「ピカピカ〜」
 「そっか。じゃあ、頑張ってね」
 「ピーカチュウ!」
 駆けて行くピカチュウを見ながら、シゲルはサトシを思い出す。必ず勝ち進んで、サトシと戦いたい。そして、勝ちたい。サトシが今日の試合に勝ったか聞けば良かったか。いや、あのピカチュウの様子からして、恐らく勝ったのだろう。
 予選は一度負けただけならまだ取り返しがつく。一ブロック三人総当たりで対戦し、一人最低二試合をこなす。一回勝つと勝ち点を三点もらえ、負ければゼロ点、引き分けは一点。合計が多い者が決勝戦へ行ける仕組み。もし三人が同点の場合は、再戦となる。
 シゲルは一度たりとも負ける気はなかった。一つ目のサンドイッチをほお張る時ですら、バトルのことで頭がいっぱいだった。
 二つ目のサンドイッチを食べ終わり、コーラのカップに手を伸す。その手元近くを、ヒノアラシが通った。
 「え? ピノ?」
 「ヒノ?」
 「えっと、 さんのヒノアラシじゃあ…ない、の、か。ごめん、間違えた」
 「ヒノ」
 せっかくバトルのことでいっぱいになった頭の中が、 のことに変わってしまう。 はヨーギラスに会いに、シロガネ山ふもとのポケモンセンターへ行っていた。
 思い出して、小さくため息。
 昨日の開会式の後、どうしてあんなことになってしまったのか…。



 元気なヨーギラスの姿を見るのは、何とも微笑ましい。彼はコロコロ表情が変わり、見るに飽きない。
 医療カプセルの中で数日過ごして、大分回復した。ジョーイに検査結果を聞いたが、回復は順調。やはりバンギラスは入院が必要だけれど、ヨーギラスは予定通り医療カプセルから出られそうだ。
 「ヨギヨギ!」
 「だめよ。まだしばらくは帰れないわ。でも、シロガネ山のみんなには伝えてあげる。ヨーギラスはとっても元気だよって」
 「ヨギ!」
  は緩みっぱなしの頬を意識し、そっと目をつぶった。
 ヨーギラスと別れるのは惜しいが、まだやりたいことが残っている。
 「じゃ、帰るよ。また来るからね」
 「ヨ、ヨギ〜」
 ヨーギラスの顔から笑顔が消え、一転、暗く今にも泣きそうな表情となった。
 「…寂しいの? ジョーイさんに頼んで、ピノを置いて行くわ。ピノはおしゃべりするの大好きだから、楽しいと思うよ」
 「ヨ〜ギ〜」
  と一緒がよい、と言うヨーギラスに、 は困ってしまった。
 結局、 の提案通り、ピノが残る事になる。ジョーイはピノを預かることを、快く承諾してくれた。夕方にまた来る、と伝え、 はその足でシロガネ山に向かった。
 今は、あまりシゲルの側にいたくなかったから。
 思い出したくもないのによみがえる、二日前。



 ハプニングもあったが、無事に聖火リレーが終わり、ポケモンリーグシロガネ大会開会式は終わった。
 夕食を摂るため、 とシゲルはレストランに向かっていた。サトシがロケット団に囚われていたこと、聖火ランナーがケガをしてしまったことを聞きつつ歩いていると、突然前方から黄色い悲鳴が聞こえた。
 「キャ〜! シゲルよ〜!!」
 「いたわ、いたわ、シゲルくーんっ!」
 「…え?」
 声に驚いているうちに、シゲルは女の人に囲まれた。 は、女性二人に押しのけられてシゲルから離れてしまう。 がむっとしたのに気づくはずもなく、六人の女性は代わる代わるシゲルに話しかける。
 「も〜、あれからちっとも連絡くれないんですもの! 心配しちゃったじゃな〜い」
 「そうよ。ポケモンリーグに来れば会えると思っていたけど!」
 「やっぱり参加してたわね! 良かった〜」
 「シゲルの応援するためにみんな集まったのよ!」
 「元気だった? 私たちがいなくて、寂しくなかった?」
 「ちゃんとごはん食べてた? ほんと、みんなで心配していたのよ?」
 よく見知った顔触れに、シゲルは少し落ち着きを取り戻す。
 「ああ、ごめんなさい。僕は大丈夫…。みんなは元気だった?」
 この問いには全員きれいにそろって「元気だった〜!」と言った。
 まだ続く質問攻めなどの合間、シゲルは を探した。 はシゲルたちから距離を取り、まったく違う方向を見ていた。
 「ご、ごめん、みんな。また会えて嬉しいけど、今は他の人と約束があるから…」
 「え! 誰?」
 「新しい人?」
 「私たちのいない間にまさか恋人!?」
 「まさか!」
 「許せな〜い!」
 「どこの誰?!」
 ヒートアップしてシゲルに詰め寄る女性たちに向かって、涼やかな声が投げかけられる。
 「ここの私です」
 その声に、女性たちは一斉に を見た。
 「初めまして。 と申します。シゲルくん、私は良いから、久し振りに会ったその方たちとお話したら?」
 「えっ、でも…」
 「あっ、ありがとうございます〜!」
 「じゃ、遠慮なく!」
 女性陣はシゲルを拉致する勢いで両脇前後と固め、レストランへ入って行った。見事な布陣、そしてチームワークだった。
 (あれがシゲルの親衛隊か…)
 それ以上は何の感慨もなく、 は晩ご飯のメニューを考えていた。そういえば、この選手村では、屋台などの出店は別だが、何を食べるにしろ大会参加選手と一緒でないと有料になってしまう。忘れていた。しかし、あの親衛隊と思しき女性たちと一緒に夕食を摂る気にはなれなかった。
 どうしようか迷うこと数秒。ふいに後ろから聞いたことのある声がした。
 「いや〜、相変わらず凄い勢いだな〜、シゲルの応援団」
 「ピカチュウ」
  が振り向くと、思った通り、サトシとピカチュウがいた。シゲルのシロガネ大会参加登録時、ポケモンセンターで会っていた。
 「サトシくん、ピカチュウ」
 「こんばんは。えっと、 さん?」
 「ピッカチュウ!」
 明るくあいさつを返すサトシとピカチュウに、 は微笑んだ。ピカチュウはサトシの肩口に顔を乗せており、前方に乗り出すように片手を振ってくれている。
 「そう、 よ。こんばんは。あら、二人だけ?」
 「はい。先に行ったカスミとタケシが、レストランの席を取ってくれてるんです。オレとピカチュウはポケモンセンターに寄っていたから」
 「そう。また会えて嬉しいわ。ピカチュウ、今日も元気?」
 「ピカピカ」
  はピカチュウと握手をした。小さくて温かい手が愛おしかった。そう感じたと同時に、ヨーギラスを思い出す。
 「 さん、シゲル行っちゃいましたけど、晩ご飯どうするんですか? 話聞いてたの途中からだけど、シゲルたちとは一緒に食べないんでしょ?」
 「ええ、食べません」
 「じゃあ、オレたちと一緒に食べませんか? 選手と一緒じゃないと、このレストランお金かかるって聞いたし。あの…、良かったら、ですけど」
 「…ありがとう! 嬉しいわ。それを思い出して、どうしようかなって、思っていたところだったの。遠慮なく、ご一緒させて頂きます」
  たちは混み合い始めた店内へ入り、カスミたちを探した。二階建ての店だっ たため、まずは一階席から隅々探した。テラス席へと行って見ると、カスミ、タケシ、トゲピーがいた。
 「おーい!」
 サトシが仲間にかけ寄り、 はその後を急がず歩いた。どうやら、シゲルたちは二階席に行ったようである。
 「入り口で さんと会ったんだ。一緒に晩ご飯食べることになったからさ、いいだろ?」
 「 さんと!? グッジョーブ! サトシ!! あっ、 さーんっ!!」
 お姉さん好きのタケシが、 に向かって手を振った。カスミもこちらを見て微笑んでいるので、どうやら の同席に異存はないようだ。 は歩く速度を上げた。
 「こんばんは。突然お邪魔をして、ごめんなさい」
 「お邪魔だなんてとーんでもなーい! 自分はだいっ歓迎しまあす!」
  の手を取り、タケシはテンション高く言った。目がハート型になっている。 は心の中で、セルフ・メロメロと名づけた。
 「はいはーい、歓迎するのは良いけど、手は放してね〜」
 カスミは言うが早いが、タケシの右耳を引っ張り、 から引っぺがした。痛がるタケシをよそに、素知らぬ顔で席に着き、 を見上げた。
 「 さん、シゲルは一緒じゃないんですか?」
 「ええ、一緒じゃないの」
 あっさりそれだけ言って、タケシの勧めるまま、彼の隣に座った。 がメニュー表を広げると、トゲピーが寄って来る。テーブルの上をチョコチョコ歩くさまはとても愛らしい。
 「トゲピー、こんばんは」
 「チョキチョキ!」
 「ピカチュウー」
 ピカチュウも加わり、 は二匹の愛らしいポケモンに囲まれたお陰で、にっこり笑うことが出来た。自然に笑えたことで、少し心が軽くなった気がした。
 シゲルとその取り巻きたちのことはギュッと圧縮し、ポイッと意識の外に追いやる。そんな想像をしながら、ウエイトレスに注文をした。
 サトシは水を飲み、少し考えながら口を開く。
 「ねえ、 さん。 さんも、ポケモントレーナーとか目指してます?」
 「いいえ。シゲルくんと一緒にいるのが不思議?」
 「はい、ちょっと」
 聞きたいことの核心を突かれ、サトシは驚きつつうなずいた。
 「あ、それ、私も気になります」
 カスミも同意し、少し身を乗り出した。
 どうやら、シゲルのことを忘れることは出来ないようである。 はシゲルと出会った経緯を簡潔に話し、自分がポケモン研究者という設定にしてあることは伏せておいた。代わりに、話を逸らすため、シロガネ山のことと、密猟団のことを持ち出す。
 「ネットのニュースに、あなたたちの記事が書かれていたわ。写真はなかったけれど、マサラタウンのサトシくんはあなただけでしょう?」
 「はい。って、名前まで乗ってたんですか〜?」
 初耳だったらしく、サトシは照れ笑いを浮かべた。
  がシロガネ山のヨーギラスやリングマのことを話し始めると、ちょうど料理が机に並び始める。食事をしながら、ポケモン保護区のヨーギラスやバンギラスの話になった。サトシがタマゴからヨーギラスを孵した時の思い出話から、密猟団とのバトルまでの冒険譚を語り、とても楽しい時間が過ぎた。
 「よっし、満腹! ごちそうさま!」
 「ピッカチュウ!」
 サトシとピカチュウはそろって食べ終わった。 も食べ終わったので、ピカチュウの口周りについているケチャップをふき取ってあげた。
  早速やる気充分なサトシは、勢い良く立ち上がり、拳をグウにして叫んだ。
 「さあ、ピカチュウ、明後日のために、バトルの作戦立てるぞ!」
 「ピ〜カ〜」
 カスミはオレンジジュースを飲むのを止め、半眼で言った。
 「サトシ、少しは落ち着きなさいよ。すぐ動いたら気持ち悪くなるわよ? 人一倍食べたんだから、もう少し大人しくしてたら?」
 「うるさいなー。オレはその少しの時間も惜しいの!」
 「あーヤダ。余裕ないことー」
 「なーんだーとお〜?」
 「ほんとのことでしょ!」
 本格的に険悪になる前に、タイミング良くタケシが静止する。いつものことなのだろうが、チームワークの良さに は妙な感心をした。一時なら、この子たちと一緒にいるのも面白そうだ。シゲルと一緒なのもとても楽しいけれど、と思った。いや、どうせなら全員と一緒にいたいと考える。そう、それが素敵。
 「シゲルとバトルするには、絶対に勝ち抜かなきゃいけないんだよ! もちろん、オレが目指すのは優勝だけど、どこで当たるにしろ、シゲルにだけは、負けたくない!」
 ライバルに闘志を燃やすサトシを見ながら、 はシゲルも同じ想いでいると思った。サトシにだけは、負けたくないと思っているに違いない。
 「ポケモンセンターで、シゲルと選考会で対戦したって人の話を聞いたんだ。立ち聞きだったけど、アイツ、その人には一発KOで勝ってるらしい。絶対、前に戦った時より強くなってる。お、オレだって強くなってるけど! けど…」
 サトシに焦りの感情が見て取れる。 は彼に水を勧めた。
 「サトシくん、座って落ち着いて。大きな声は止めて、お話しましょう」
 「…はい…」
 水を一気飲みし、サトシはようやく座った。
 「どうしちゃったの、サトシ?」
 カスミが心配気に聞いた。先程までのやり取りが嘘のように、気遣わし気な声だった。
 「……昨日の夜シゲルと話して、アイツちょっと変だった。何でだろ、オレまで何か変になっちゃったみたい」
 「ピカチュウ?」
 力なくつぶやいたサトシに、ピカチュウも心配だ。
 「 さん、シゲル、アイツ何か言ってませんでしたか?」
 「何も。シロガネ山で何か特別なことがあったふうでもなかったわ。けれど、今のあなたみたいに、少しナーバスになってはいると思う。そして考えている。想像している。出来得る限りのことを。可能性を。勝った先、そしてもしかしたら、…負けた先のことも」
 「…負けた先?」
 シゲルも言っていた。自分たちには、まだまだ色んな可能性があるんじゃないか、と。あのシゲルが、負けた後のことを考えている?
 では、自分はどうか。サトシははっきり言える。これから予選リーグを勝ち抜き、優勝を目指す身で「勝利」以外のことを考えるのは馬鹿げている。しかし、万が一負けても、ポケモンマスターになるという夢が叶うまで、諦めるつもりはなかった。それ以外、熱く燃えられるものが思いつかない。
 シゲルはサトシに勝ち、シロガネ大会で優勝するのは自分だと言い切っていた。だから、 の言うことが信じられなかった。もしかしたら、のことでも、負けた場合の選択肢を作っておくようなことをするだろうか。それは負けてから考えればいい。
 サトシが考え込んだ後、少し間を空けて、 は心持ち声を低くしてしゃべった。
 「負けた先のことを考えるのも、思慮深さゆえ。逃げ道を作っておくのとは訳が違う。人によって、時に楽になるための言い訳にもなり、時に、本当に負けてからのショックを和らげるクッションにもなる。安全を見込むのは悪いことじゃないわ。それに、『次』に繋げることが出来る思考をちゃんと持っているということ」
 しゃべらないサトシに、 は続けた。
 「いいこと? 誰に、何に、どんなふうに。シゲルくんが勝っても負けても、あの子は歩みを止めないでしょう。勝ったらそこで終わり? 負けたら先はない? いいえ、それを決めるのは、自分自身。続けるのも止めるのも、勇気のいること。どういう未来につながっても、先がある。ここ数日一緒にいて思ったのは、彼は何かを決意している。このポケモンリーグに挑戦すること自体で、何かを計っている。自分の実力かしら? それとも、決意の固さ? 情熱? …とても、とても大きな決心で挑んでいるのだから、結果はどんな影響をもたらすか分からない」
 「オレだって、決意くらい…」
  は大きく瞬いた。一体、昨夜別れてからのシゲルは、どんな精神状態だったのだろう。サトシはシゲルから、どんな不安を感じ取ったのだろうか。
 「うーん、ちょっと違うかも知れないけど、背水の陣っていう、大昔の故事、知ってる?」
  は声のトーンを通常に戻し、わざとらしく天井に目を向け、人差し指を口元に当てて、聞いた。
 そして、首を横に振るサトシを誘い、選手村の広場へ向かった。
 広場に来た とサトシ、ピカチュウは、ちょうどよく空いたベンチに座った。
  が腕時計を見ると、既に二十時過ぎ。しかし、開会式のお祭りのような雰囲気が人々に残っているのか、広場は陽気な声でにぎわっていた。
 「どう、少し落ち着いた?」
 「はい。すみませんでした」
 まだ胸の内がもやもやしているサトシだったが、 がにっこり笑ってくれたお陰で話しやすい。
 「オレ、さっきまではこんなふうになると思いませんでした。だって、今日開会式でシゲルと会った時だって、別に普通だったし。シゲルも、昨日の話なんかなかったみたいに、いつも通りだったし」
 サトシはその原因を考えているけれど、一向に思い当たらない。
 「今まで、シゲルくんのこと、ライバルの動向を人づてに聞いたことある? 身内のオーキド博士は除いて」
 「うーーん…。あんまり。あったよーな気はするけど、思い出せないや。大したことはなかったと思います」
 「そう」
 少しの沈黙の後、 は続けた。
 「昨日のシゲルくんは、そんなに凄い決意を君に語ったの?」
 サトシはピカチュウと顔を見合わせる。そして、一部始終を話した。
 「そうか、未熟さと可能性…」
  は噛み締めるようにつぶやいた。
 「オレは、ピカチュウと会えて本当に良かったと思っています。シゲルが言ってたみたいに、もしオレが寝坊で遅刻しなかったら、ピカチュウと会えていなかったかも知れない。そんなの、絶対に嫌です」
 「ピカチュウー」
 ピカチュウも同意して、うなずく。
 「ヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネ…。どのポケモンとも上手くやっていく自信があったけど、誰かをもらっていたら、今友達になった三匹のうちの誰かとは、出会えなかったかも知れない、なんてそんなの悲しすぎます。考えたってしょうがないことだけど」
 サトシはピカチュウの頭をなでてつぶやいた。
 「懐かしいな。あの時オレは、散々迷って、夢の中でまで迷って、ゼニガメをもらおうと思ってたんだっけ…」
 ゼニガメ、と聞き、 は妙な因果でもあるのか、と思った。昨日のシロガネ山の一件の話をした時、 はわざとシゲルの手持ちポケモンには触れずに話を進めた。大会用に登録されているポケモン、そして預けられている手持ちまでも、パソコンで見ることが出来るが、わざわざ言うことでもないと判断したからだ。
  は、オーキド博士のもとでもらえる三匹の姿を思い出す。
 「さっき、初めの三匹とも友達になったって言ったわね」
 「はい。今は離れ離れになっていますけど。みんなそれぞれに、居場所や仕事があるんです。ゼニガメは、消防団の仕事をしてるんですよ」
 「火消しのゼニガメか…。凄いわね。適材適所!」
 「あはははは。はい!」
 「ピッカー」
  はサトシを観察した。ピカチュウを見ながら、他の三匹を思い出しているのだろう。近くにいるピカチュウと、遠くの三匹を同時に想っている。そんな、柔らかな表情。
 「サトシくん、私ね、最近ゲットしたコラッタがいるの。まだ育て途中だけれど、バトルしてくれないかしら?」
 きょとん、とした顔でサトシは瞬きを繰り返した。
 「 さんと…?」
 しかし、すぐに拳を握り締め、 の挑戦を受け取った。










**セキエイの時だったか、大会参加者の食費とか無料って設定があった気がします。タケシカスミも料金払ってない気がするので、勝手に参加者と一緒ならタダメシレストランありにしてみたり。
 久々にポケモン無印第一話を見ました。私より好きだった弟君が、はりきって撮りだめたブツ。ポケモン番宣も入ってるところから始まり、64マリ●スタジアムというゲーム番組に湯山監督のインタビュー+出場者への問題、キャラデザの一石さん、声優の松本さんたちも問題を出すというものも収録。それらを経て、やっと第一話が観られるというビデオテープにて。
 十年前の代物なので、映像の質悪いです。
シゲルが出るところくらいキレイになる奇跡、はありませんでした。(←ないのかよ)
 
何が驚きかって、64出演のスリムな三村マ●カズさん(ゲスト)より、ミュウとミュウツーの関係が親子って設定なところですよ!! ミュウ、子を産んでたの?!?(←赤緑とかやってないの丸判りです)
 …FR・LGでもソレあったっけ…?

*2007/02/06up

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